止め処ない

アドベントカレンダーとしてしか使っていません

#言葉遊びAdvent2023 23日目

 

「言葉遊び Advent Calendar 2023」(https://adventar.org/calendars/9307)12/23の記事です。

 

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みぎめと申します。宮村映美という名義でイベントの運営やスタッフをしたり、徒波咲という名義で謎制作や文章の作成をしたりしています。言葉遊びジャンルだと、拗音を含まない口語新仮名46文字のパングラム作成やポリバケツ語などが好きです。京都出身です。音楽高校で歌・芸術大学で発声を専門分野として、声での表現を勉強していました。

 

どうせなら他の誰とも違うジャンルの言葉遊びを……と考えた結果、早口言葉から少し派生したテーマになりました。

 

わたしは滑舌がよい方です。昔からそうだったわけではないので発声練習を習慣にしているおかげだと思うのですが、その中でも特に言葉遊びっぽい(独断)ものの有名どころ(偏見)を少しだけ紹介しようと思います。

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□『かっぱ』

谷川俊太郎の詩は発声した際の音の側面も重視されているものが多く、いろんな作品が歌曲になっています。その中でも、言葉の意味よりも音韻やリズムに重きをおいて生まれた絵本『ことばあそびうた』より、ラッパを鳴らすとき限定オノマトペ「とてちてた」が登場(わたしはこのとき初めて知りました)するこの詩を選びました。こちらの絵本はすべての詩がひらがな表記で統一されており、また句読点もありません。声に出してうたわれることを前提としているので当然口馴染みがいい。

ちなみに谷川俊太郎作詞の合唱曲は組曲『エレメント』の『火』が一番好きです。対比や韻などの言葉遊びがささやかにあってかわいい。歌う際はçiの子音がおろそかになってしまわないようにお気をつけください。

 

□五十音

北原白秋の詩です。これも定型詩なのでリズム重視。かな学習歌として作られており、50音が蔓延なく使われています。それにしてもアメンボは赤くないだろ。個人的には無声音と有声音が交互に並んでいるカ行がいちばん苦手です(関西育ち故に共通語と呼ばれる東京方言でよく使われる母音の無声化に馴染みがなく、また歌においては無声音も含めて楽譜の指示であることが多いので)。

この詩にはラッパで飛び立つときのオノマトペ「とてとてたった」が登場します。『Do-Re-Mi』で「a note to follow sew」とされている部分が『ドレミのうた』では「ラッパのラ」と訳されているので、もしかすると日本の言葉遊びうた界ではラッパがかなり便利な位置にいるのかもしれない。あまり詳しく調べてはいません。日本の言葉遊びうた界?

 

□『外郎売

ここでは同名歌舞伎十八番の劇中に登場する長科白を指します。万病に効く薬の実演販売みたいな(ざっくりしすぎ)演目なのですが「なんとこんなに滑舌がよくなるんですよ!!!!」のアピールなので、薬を飲んでからは小学生が考えた早口言葉のハッピーセットみたいに言いにくい文章が続きます。発声練習として諳んじるぶんには早口である必要はないんですが、気持ちよくなっちゃってどんどん速くなっていくの、わたしだけではないと思う。台詞回しの練習でもあるので、薬の素晴らしさを説くときの興奮や舌が回り出してからの勢いそのままに、客に聞かせているという意識を忘れずに演じる必要があると教わりました。長いので消費カロリーが高い。

どうでもよいのですが「第一の奇妙には」と言うからにはこの薬のメイン効能は滑舌の部分だと思っているのですが、滑舌が良くなる万能薬(しかも万能のほうはどちらかといえば副作用)、怖くないですか?

 

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いかがでしたか? 言葉遊びよりも発声のほうに偏ってしまいましたが、気になった方は調べてみてください。こういう記事を書き慣れていなさすぎてインプレッション稼ぎみたいな締めになってしまったんですが、これってどうするのが正解なんでしょうか。

それではこのあたりで失礼いたします。

 

#言葉遊びAdvent2023

謎クラの好きな小説 4日目

謎クラの好きな小説 Advent Calendar2022

https://adventar.org/calendars/7923

 

主催:めぇ〜

(https://twitter.com/yagimee825)さん

 

 

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宮村映美という名義でイベントの運営やスタッフをしたり、徒波咲という名義で謎や文章を書いたりしているみぎめさん。

「創作においては伏線回収と面倒な人間が好き」と公言しています。

 

そんなみぎめさんのイチオシ小説は何なのでしょうか?

 

そこで今回は、

・好きな小説

・誰にも読んでほしいオススメの小説

についてまとめてみました!

 

※この記事は核心をつくようなネタバレのないように書いたつもりですが、少しの雰囲気バレも避けたいという方はお気をつけください。

 

 

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勝手にふるえてろ

綿矢りさ・著

 

「絶対に敵わないであろう初恋の相手」と「興味はないけれど手を伸ばせば簡単に手に入る同僚」の二人と恋愛(広義)について悩む主人公・ヨシカが周りを振り回しながら幸せを追い求める話です。

綿矢りささんの文体は女性の苦しさや葛藤を等身大のまま表現していて、感情移入する女性読者も多いのではないでしょうか?

当時26歳の著者・綿矢りささんが描く26歳の女性・江藤良香の物語を、今年度26歳になるみぎめさんが紹介するのは素敵ですね!

 

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アヒルと鴨のコインロッカー

伊坂幸太郎・著

 

引っ越し先のアパートで隣人に本屋の襲撃を誘われる男性の「現在」と、ペットショップでアルバイトをする女性の「二年前」を行き来して描かれる少し苦い後味の物語です。

伊坂幸太郎さんの特徴は、なんといってもその巧みな言い回しと鮮やかな伏線回収だと言えます!

長編小説が苦手でも読みやすい文体として挙げられることが多い小説家のひとりですね。

 

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いかがでしたか?

今回は、みぎめさんのイチオシ小説をしょうかいさせていただきました。

どちらも映像化したことのある有名な作品なので、読んだことがある方も多かったかもしれませんね!

 

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イチオシなのは本当です。すみません。

ところで面倒な人間って何ですか?

 

 

#アドベントリレー小説 5日目

12/1から始まり12/25に終わる、25名で紡ぐリレー小説企画です。

https://adventar.org/calendars/6460

主催者:じざにあ(https://twitter.com/zizanianother)さん

 

4日目:兎谷あおい(https://twitter.com/togaiaoi)さん

https://note.com/togaiaoi/n/n78f45058245a

 

 

5日目:徒波咲(みぎめ)(https://twitter.com/_1su2)

 

 

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『緋色のヒーロー』 #5

 何も、あいつは昔からああだった訳ではない。いつだったか喋ったのを覚えている。確か、沈む陽がやたら眩しい午後だった。

 

「赤は主人公の色だと思ってたんだ。燃えるみたいな情熱とか信念を貫いた正義の色だって、だから必死でここまでやってきたよ。おれはみんなを救うヒーローになりたかった。主人公になりたかったんだ」

 

 あの時、俺は何も言えなかった。何か言えたとして、あいつの心を動かすことはできたんだろうか。

 

「でもさ、真っ赤な嘘って言葉があるじゃんか。だったら情熱とか正義って嘘なのかって思って。考えてみれば、ヒーローって、目に見える被害が出てからしか登場しないんだよ。おかしいよな、みんなを救うよりも別のことのほうが大事なんだ、きっと。じゃあ、おれが憧れていたのはただの嘘つきだったのかな。それとも」

 

——おれが嘘つきってことなのかな?

 

 気を落ち着けるために目を閉じる。揺れるショールのラメが、いやに鮮明に浮かんだ。

 

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6日目:海老(https://twitter.com/shrimp_100)さん

(2021/12/06公開予定)